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たるしる歳時記  障子

障子が冬の季語と応えられる人は案外少ないのではないでしょうか?
冷暖房の普及したマンション暮らしをしていると障子はもはやインテリアの一つとしてなっていても仕方ないかも。
障子は鎌倉時代に生まれ、江戸時代に庶民のものとして普及してきました。
高温多湿のこの国で、たかが紙一枚といえ障子はかけがえのない暮らしの必需品でした。
夏は外すことによって涼をとり、冬は寒い風は通さずに、太陽の光を通してもらう。ガラスなどがなかった時代には、和紙を透して射し込む柔らかな光がどれだけ冬の日々を明るくしてくれたことでしょう。
そして暑くなると大切にしまわれ、冬が来る頃、破れなどを丁寧に繕ってまた嵌め込まれます。そんな光景、なんとなく覚えている人もいるのではないでしょうか?
写真は、我が家の障子越しの小庭の風景。向こうに見えるのは、柚子の木と花の終わった秋明菊の茎姿。障子を通すだけで風景が鮮明に浮かび上がって植物本来の姿を見てしまったようでハッとします。
たった紙一枚で内と外を区切る。曖昧ではかなげで、それでいて決然と境を生み出す。障子は、なんだかとても日本人の感性になじむような気がします。
新年を迎えるにあたって、昔の人のように丁寧に張り替えなければと毎年のように思うのです。
【参考・水牛歳時記 大澤水牛】

白障子閉ざすはこころ放つなり   正木ゆう子