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たるしる歳時記 揚梅(やまもも)

もう5年ほど前になろうか、近所の街路樹に揚梅の木があることに気づいた。
入梅の頃は目立たなかった緑の実が、梅雨が深まってくるほどに一気に熟して真っ赤に色づく。
ただ、この実、とても柔らかく、少々の雨でもあっという間に地面に落ちてつぶれてしまう。
雨の強い明け方ともなると、いてもたってもいられなくなり、まだ誰もいない頃を見計らって、
落ちた実をざる一杯に拾って帰り、きれいに洗って、急いで果実酒に漬け込んだ。
赤い実が氷砂糖と混じり合い、焼酎にしみ出していくのを観察するのは、何とも優雅なひととき。
ただ、一心不乱に赤い実を拾っている姿を早起きのお年寄りに見られてしまい、その方の早起き
に負けてしまって、落ちたばかりのきれいな実は、すっかり手に入らなくなった。
大粒の揚梅は、梅雨の味。
もうそろそろ梅雨が明けてほしいなあという、水分たっぷりの甘い梅雨の味がする。